嘘つき⑤【-sign-】

体が闇に沈んでいく感覚に抗えない。


なぜ、なんて疑問文が頭に巡る隙もないくらい、固まってしまった意識の中、



跳ね上がる鼓動に急かされる様に、あたしはその場から離れた。





清吾さん




確かにそう呼んだ瑠香さんの甘い声。




何をしてたかなんて知らない。





知りたくなんてない。




はっきり感じたのは、



疑問文よりも




2人に対する確かな拒否。






湧き上がる吐き気。


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