恋愛ラビリンス―愛しのヴァンパイア―


中学3年生の科学の授業中。

季節は春だった。


一人の女の子がビーカーを割って、腕に傷を負った。

流れる血に、教室中がどよめいて、それを先生が落ち着かせながら女の子に近寄る。

みんなが女の子を見つめる中、あたしだけは紫貴から目が離せなかった。


流れ出る血を、じっと見つめる紫貴から。


その子と同じ班だった紫貴が、血を見て動揺したのが見ていて分かった。


薄い紫色の瞳が、じょじょに色を増して濃くなって、表情は何かを我慢するように険しくなった。

苦しそうに俯いて、目許を片手で覆う。


そして、その数秒後。

目許を隠していた手を離した紫貴が、その手を女の子に伸ばして―――……。



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