恋愛ラビリンス―愛しのヴァンパイア―
『……―――』
その光景を見た時、反射的に身体が動いていた。
考える暇なんかないくらいに、咄嗟に身体が動いていた。
『紫貴のバカっ……!!』
気付いた時には、床に倒れた紫貴の上に馬乗りになっていて。
見下ろす先には、驚いた顔をする紫貴がいた。
瞳の色は、まだいつもよりも濃くて、血を求めているのが分かった。
目の前にいるのは……、
ヴァンパイアだ。
人の血を吸う、ヴァンパイアだ。
その時、それを実感した。
だけど、不思議と身体が震えたりはしなかった。
恐怖よりも強い感情があたしを動かしていたから。