新アニオタ王子


苦しい?

苦しいっていうよりは…なんだか


「そわそわする」

「そわそわ?何それ?」

「わかんない」

「今も?」

「今は…少し落ち着いてきたけど…」


岡本は不思議そうに首を傾げた。


「そっか…早くよくなるといいね」

そして優しい笑顔をあたしに向けた瞬間


まただ。

また

心臓が早く動き出す。


「ヤバイまたドキドキしてきた…」

「大丈夫?」


なんだか頬まで熱くなってきたし…

あたしやっぱり風邪気味なのかな…


「大丈夫?顔赤いよ?」

「…あたし風邪かも」


「みたいだね。ゆっくり
寝なよ。後で起こしてあげるから」

「…そうする」

とは言ったものの…

すんなり眠れるほどあたしの鼓動は大人しくなんかしてくれない。


小さな台所に立って

せっせと冷蔵庫と台所の数歩の距離を行ったり来たりする岡本の行動を気づけば目で追ってしまう。


そして

たまにこっちを向く岡本と目が合っては

跳びはねるあたしの鼓動。



たまらず

あたしは岡本に

「こっち見ないで!!」

大きな声で叫んだ。


「なんで?」

「目が合うとドキドキするからだよっ!」


すると一瞬

不思議そうな顔をした岡本が

今度は驚いた顔をしてこっちに歩いて来た。
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