新アニオタ王子
優しい人だろうか。
最後まで責任もって飼ってくれるだろうか。
そんな目で
オタクを眺める客を見ていた。
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大晦日の閉店ギリギリの時間に店に飛び込んで来た男性客。
「舞夢美、ちゃんと働いてる?」
あたしを本名で呼ぶその客は従兄の康史だった。
「うざいな…。もう閉店するんだけど」
「そんな事言うなよ。俺は客だぞ」
「何?あんたペット飼うの?」
「うん。
ってか飼いたいらしい奴がいて…」
「はっ?
なんでそいつ、自分で見に来ないわけ?」
「なんか都合があるみたいでよ」
はっ?
じゃあ何しにペット飼うつもりなわけ?
「悪いけど、うちにいる動物はみんな淋しさ紛らわすための道具じゃないから」
どうだ
この
あたしの対応。
従業員としてはダメかもしんないけど、人として普通だよ。
自分で見に来る事もしない奴なんかに売る動物なんかいない。
「まぁ、そんな事言うなよ。」
そう言いながら
康史はオタクのいるゲージに向かった。
「あっこの犬可愛いな」
「その子は…オタクはダメっ!!」
あたしは
夢中でゲージから康史を離そうとする。
「はっ?オタク?」
「えっ?ああ…そうよ。
従業員同士で決めた名前で
ここにいる間はそう呼んでるの」
ちょっと
嘘もあるけど。
「ふーん…
名前のわりに可愛いな。」
そう言うと
コートのポケットから携帯を取りだしオタクをカメラで写しす。
「やめてよ。」
「オタクだっけ?
そいつに写メしとくわ。」
「お願い…やめてよ」
「俺だって頼まれて来たんだから。
それより、明日…元旦だけど仕事あんの?」
「ありますけど?」
あたしの怒りをものともせず
「じゃあ、きっとそいつ
明日オタクの事見に来ると思うからよろしくな。」