アイシテルって言えなくて~大人女子と高校生の恋
私はタイミングを計っていた。
いつノックをしようかと
病室の前に立っていた。


「今日も雪ね……
実はね…恥ずかしいんだけど
見てくれる?」


「何?」


「詩を書いたの。
昔を思い出して・・・・・。
甲斐…曲つけてくれない?」


「曲?
なつかしいな~
俺もずいぶんやってないけど…」


「いい詩だと思うんだ。
大事にしたいから……
暇な時でも…お願い……。
そして一回合わせて
音色に聞いてもらいたい。
私と甲斐の曲・・・・・・・」


しばらく静かに時が流れた。


「いいね・・・・。
創作意欲が湧いたぞ。
あの頃みたいに………
おまえ相変わらずいい詩書くな~
ずっと書いてたのか?」


「ううん・・・
もう書かないつもりだったんだ。
でもこうして一人でいると
ついつい…ね…
素晴らしい部屋で最高の眺めだし…」



「わかったよ。
久々に
ギター練習するかな~
ピアノはたまに弾くんだけどさ……」



「甲斐のピアノ聞きながら…
昔はよくうたた寝したな~~」



「おまえ失礼な奴だからな~」



温かい笑い声は
私を排除するかのように廊下まで聞こえる。



 かえろう・・・・
 ここは私の来るとこじゃない…


音羽さんと甲斐の空間には
はいっていけないことを痛感した。
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