みつあみ少女にティアラを乗せて ж2部
「しかし、依鶴様に、話が終わるまで立ち入りを禁止と命じられて」
家政婦さんは頭を下げた。
依鶴の言うことに反すようなことは、絶対に出来ないのだ。あおいもそれは分かっていた。
「じゃ、依鶴の召し使いでもなんでもないあたしが直接行く」
「あおい様…!」
あおいは家政婦を押し切って宮町邸にあがった。
「どこですか?案内してください!」
中にいた別の家政婦さんは、上がり込んできたあおいにぎょっとしていた。
「あ、あおい様じゃありませんか!」
「…あの、あたしは他所のお嬢様なのに、どうして様なんかつけるんですか」
「お嬢様はお嬢様ですから…」
「とにかく、藤咲さんと依鶴はどこなの?」
「ああ…い、いまご案内致します…」
強気お嬢様に、家政婦さん達はたじたじだ。
…いけるじゃん、あたし!
あおいはすがすがしい気分だった。
今なら、なんでもやれる気がしたんだ。なにも怖いものなんかないって思えたんだ。
池野くんとの距離がちょっとだけ縮まっただけで生まれた、この気持ち。この希望。沸々と沸いて来る勇気だけで、あたしは前へ進もうとしていた。
あとから考えれば、あたしはばかだった。
今これっぽっちも考えていなかったことが起きた。最悪なことが起きた。
そんなこともつゆ知らず、あおいは部屋まで案内された。家政婦はあおいを連れてくるとすぐ何処かに行ってしまった。
その部屋からは音も何も漏れていない。
あおいは扉を睨んだ。
依鶴め。なに話してるのさ。