みつあみ少女にティアラを乗せて ж2部
振動
「…ではまた明日の朝。失礼致します」
あおいを取り巻くなんらかを感じとったのか、藤咲さんは頭を下げて扉をしめ、去った。
明日の朝…か。
ひとりになったら、なんだか視界が霞んできた。
そう…朝、藤咲さんはあたしを起こしにくるんだろう。
お咎め口調だけど優しい起こし方で。
あたしにしてみれば心臓に悪い。たまに顔がこんなに近いんだ。
こんなことになるんなら、あの時キスしちゃえば良かったのかな。
…なんて無謀。
まさか依鶴に……奪われるなんて。
あたしはゆらりとベッドに座った。
お嬢様だったって…されるがままなんておかしいよ。たしかに依鶴は何かにきゃっと反応してよろけた。藤咲さんがなにかしたのかもしれない、だけどしてしまってからじゃ遅いんだよ…。
「…バカ!」
涙声で、あおいの口から飛び出した。
しかし浅い眠りについて朝になり、あおいを起こしたのは藤咲さんではなく――
ブーブー……
ベッドわきの机に置きっぱなしだった携帯電話だった。