【妖短】 カ ミ カ ク シ

「…………は…?」

かしゃん、とカップが手から滑り落ちた。
床にコーヒーが飛び散る。が、そんな事さえも気にしない程に俺は朝のニュースに釘付けだった。


『昨日未明、―――高校の生徒、柑宮凛さん(16)が行方不明だとわかりました。警察では連続行方不明事件として捜査をしており、情報提供を……―――――――』


行方…不明?

俺は今日、何をしていたかなんて記憶は曖昧だ。
凛が行方不明と言う事実が受け入れられなくて。

三日程あいつは学校を休んでいた。
俺もあいつも親を亡くしており、一人身だ。
ただの風邪だと考えていた自分がこの時ばかりは嫌になった。


それからまた誰かが消えた。
凛が行方不明になってから一月が過ぎた頃だ。

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