幕末〓冷血の鬼
「それでも私は、あなたに戦場には行ってほしくありません。戦場はいつ死んでもおかしくない場所です。あなたも死ぬかもしれないのですよ?」


恋花さんを止めたかった。


戦場、しかも今回の戦はいつものと違うと聞いている。


愛おしい人をそんな危ない所に行ってほしいわけがない。


だけど恋花さんは、首を縦に振ろうとはしなかった。


(どうして…何故わかってくれないのですか?あなたには死んでほしくない。笑っていてほしいのに……)


恋花さんに訴えの眼差しを送ると恋花さんは口を開いた。


「それでも私は、戦場に行きます。私は自分より新選組の人達が死ぬことの方が怖いのです。」


何故こんなにもこの人は、自分より人を大切にするのだろう?


まるで誠の武士のようだ。
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