君のそばに
どのくらい時間が経ったのだろうか。
2人の沈黙状態による静けさが、離れた海の潮騒を風に乗せてテラスまで運んでくれた。
その音を耳にしていると、段々と音の大きさが増していくと思うのは、私の気のせいだろうか。
うっすらと漏れる部屋の明かりと、静けさの中優しく響く波の音に、私はゆっくりと夢の中へと足を踏み入れていた。
「…沙矢…、寝てる…?」
私が軽く舟を漕いでいると、ふと、実春の声が聞こえた。
「…う〜ん……寝てない…よ〜…。」と半目のまま私は言った。
私が寝ていないか確認する為に声をかけたようだが、案の定、私は半睡状態だった。
「ごめん、悩みを聞いてやるって言ったのに、…何か黙り込んじゃって…。」
「…ううん。…別に大した悩みじゃないから。
実春も何か悩んでるみたいだし、代わりに私が聞いてあげようか…?」
私は目を軽く擦りながら言った。まだ完全には目が醒めていない。
両手を上に挙げ、伸びの姿勢をした。ポキポキと背骨が鳴る。私はボーッとする頭をフル回転させ実春の方に向き直った。
「あのさ…。」
私がそう言ってしばらくしてから実春が口を開いた。
「…沙矢ってさ、いつもどんなことに悩む?」
「………は…?」
私は思いきり変な声を出してしまった。
どんなことに悩む…−!?まさかそんなことを聞かれるとは思わなかった。不意打ちを喰らったっていうか…。
…というか、実春の話を聞くってことになったんだよね……確か。
何で、また私の話をするわけ〜!?実春くんは何がしたいの!!
私が疑問の眼差しで実春を見ると、実春は真っすぐと私のことを見つめていた。
「いいから答えて。」
強く言われたわけではないけど、…その、私を見つめる実春の瞳が真っすぐと私の姿を捕らえていて圧倒された。
目が離せない。