君のそばに
「以上で終わり?」
実春は私に軽く笑いかけながら言った。
「…うん。
ていうか、不完全燃焼って感じ!実春に悩みを言ったのはいいけど、考えたって解決しないから全然スッキリしない!!」
私がムスッとした顔をしてみせると、実春がハハハ、と笑いながら言った。
「まぁ、そんなの時間が経てば解決するよ。」
…相変わらず、適当だな〜…!他人事だと思って軽く流してるな〜、実春の奴!
そんな実春を私は軽く睨みつけてやった。
「じゃ、沙矢の話も終わったことだし、オレの話でもしようかな!」
すると、実春は首を左右交互に傾けながらそう言った。ポキポキッと渇いた音がした。
そうだ!
実春が話す番だった!
ぶっちゃけ、清水さんのことを考えていた私は、実春との約束を忘れかけていた。
1つのことに集中すると、他のことはすっかり忘れてしまう…。
私の頭の機能って、…単純…。
「今まで沙矢に、沙矢の悩みについて話してもらったじゃん?」
「うん。」
「考えてみると、”悩み”ってさ、小さい事から大きい事まで色々あるんだよな。」
「…うん。」
「ただ単に”悩む”っていう行動ってさ、解決するものもあるし、しないのもある。解決しないものは、さらに悩んでしまう。今、沙矢が言った不完全燃焼ってやつ。」
「…うん…。そうだね…。」
…まずい…。話が全然見えない…。
悩みの定義について話してるみたいだけど、…難しい話については聞くだけで、助言は出来ないかもしれない…。
私の気持ちが表情に出ていたのか、
実春が”本題はここから”と真剣に顔を引き締めて言った。
その言葉につられるように、私の体も緊張する。