君のそばに

「沙矢もそうだと思うけど、悩むだけで結構体力使わない?」

「…うん。」


実春が本題を話すと言った以上、私は余計なことは言わず聞くことだけに集中することにした。



「その”悩み”っていう枠の中に、沙矢の場合はさ、勉強のことだったり、清水のことだったり、…あと千春のこととか…、色々あるじゃん。


悩むことって、常に解決しない事柄が頭の中を駆け巡っていて、改善させるために、言わば、そのことを考えてる、ってことなんだよな。」


「……。」




「つまり、オレが言いたいことは、勉強とか清水のこととかは置いといて…、


…沙矢の頭の中では、常に千春のことを考えている。」





そう実春は言うと、私の腕を掴み自らへ引き寄せた。






それが一瞬のことで、私には何が起こったのか分からなかった。




…何で、私……実春に抱きしめられてるの……?



最初は困惑したけど、今ある状況を理解し、話の流れが掴めてきた私は



実春の腕の中で心臓が高鳴っていた。



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