王様と料理人
居るはずのない人物の声に、ギョっとして振り返る。

「な、何して…お仕事はどうされたんですか?」

「仕事はお休み。」

いや、王様が休んじゃダメだろう!?

心のなかのツッコミは、見事にスルーされる。

「トーコちゃんに嫌われたままじゃ仕事が手につかないからネ。…謝りに来たんだ。」

「謝られても、あの訳のわかんない噂は消えません。」

理由が分かってから、城内の人目が気になることこの上ない。

この居心地の悪さ、どうしてくれるんだ。

知らず知らず、ラウル王を睨み付けていたらしい…王がすっと目を伏せた。

「トーコちゃん、怖い。」

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