王様と料理人
「怖くさせたのはどなたでしょうね、ラウル様。」

「だから謝りに来たんだよ、トーコちゃん。」

そう言った途端、ラウル王の目線がぐっと下がった。

目の前に王が跪いている、と気付いたのはたっぷり10秒ほど経ってから。

「ラ、ラウル様!何なさってるんですか!!」

王様が料理人に跪くってオカシイでしょ!?

いやいや、それより何より、跪くって見たことないし!

漫画!?漫画の世界!?

パニックを起こして固まる私には構わず、ラウル王に手を取られる。

無駄に色気のある、しかし真摯な瞳に見つめられた。

「…赦してほしい。トーコ。」

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