─ Alice ?─



「だ、れ……ですか?」



私よりも色素の薄い髪に白い肌

瞳は私と同じサファイア色。



大きな鎌を容易く持ち、無表情で私に声をかけた女性




私は知らない人だった。




知らないはずなのに。





「私のことを忘れてしまったの?アリス。一番の仲良しだった私のことを?」



胸騒ぎがする。思い出してはいけない気がする。


なのに頭の中には映像や言葉が浮かんだり消えたりを繰り返す。






「………首切り。」



ふと漏れた言葉。無意識だった。




「あらやだ。アリスまでそんなこと言うの?昔はそんなこと言わない優しい子だったのに。大人になれば皆歪んでしまうものなのかしら。」



だから大人は嫌なのよ、と呟きながらゆっくりと椅子に腰を下ろす姿は、どこか寂しげだった。




「……首切り女王。彼女の名はハート。彼女に逆らえば国から抹消される。」



急に背後から声がし、振り向くと見知らぬ男が私を見下していた。



口からはみ出た細い舌が不気味な、まるで爬虫類のような男。



「私は審判だ。これから君は裁判にかけられる。真実の裁判に。」
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