奇蹟のはじまり
僕たちは示し合わせたよ

うにただでさえ少ないパ

ンを隠すように服の袖に

いれました。

もちろん、あの女の子に

食べさせるためです。

僕たちはみんなが寝静ま

るとそっと眠っていた部

屋を抜け出しました。

あの子も眠っているかも

しれないと思いながら二

人でそっと部屋に入りま

した。

女の子は昼間と同じ物影

に隠れるようにして疼く

まっていました。

「大丈夫?」

そっと声をかけると彼女

の肩がビクリとしたのが

わかりました。

『ヤッパリ、コロシニキ

タノカ?』

女の子は警戒心をあらわ

に言いました。
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