偽りの仲、過去への決別
ヒロも松山の印象は、いつも笑っている印象だった。いつもクラスの中心にいて、周りの人間達を楽しませていた。 勉強もできた、松山がヒロは友達になりたくてしょうがなかった。 ヒロは声をかける勇気がなかった。いつもクラスでは、気持ち悪がられ、誰もヒロに近づいてくる人間はいなかった。 ヒロは、今のクラスでも、同じ待遇を受けていた。 松山がヒロの席にいつもやってくることに、周りのクラスメイト達は驚きを隠せずにいた。 松山は、そんなことに気付いてはいなかった。松山の視線の先にはいつも恭子しか見えてなかった。 ヒロは嬉しかった。松山のおかげで、自分の印象が少しずつであるが、好転していることが実感できていた。 松山と話していることが、周りのクラスメイト達に影響を与えていた。松山の笑顔に引っ張られヒロ自身も、笑顔を見せるようになっていった。恭子は、なぜ松山がいつも自分のクラスにやってくるのか、わかっていた。いつも恭子を見つめる松山の視線がうっとうしくてたまらなかった。 文句でも言いたかったが、ヒロがいつも近くにいて言えなかっただけだ。 それに、人に好かれることは、気分が悪いことでもなく、恭子は、自尊心を保つ上で恭子からアクションを起こすことを躊躇っていた。 しかも、松山のことは、どうして好きにはなれなかった。 ヒロは、松山が仲良くしているカズのことが気になっていた。 ヒロは偶然カズを見かけたことがあった。駄菓子屋に、妹と弟を連れて買い物に行った時のことだ。 ヒロの家庭は、母子家庭で、ヒロ以外に、妹と弟、それに兄二人がいた。 ヒロは炭鉱住宅に住んでいた。一昔前は、たくさんの人が住んでいて、ヒロのすむ地区は、町で一番の活気があった。