偽りの仲、過去への決別
しかし今は、炭鉱の斜陽化が始まり、黒いダイヤといわれていたのが石炭の時代は、終わろうとしていた。 最盛期は、永久に続くと思われた景気が、世の中の変化とともに、石炭の役目が無くなってしまった。 皮肉なもので、国を動かす為に必要だった石炭が、時代とともに技術革新が進むと、石炭の必要性が低下してしまった。国が栄え、人々の生活水準が上がると、労働賃金が上がり、安価な外国の石炭にとって変わられてしまった。 国の為、人々の為に頑張り、最後は自分で自分の首を締めてしまう形になってしまった。 町には公害を残して、足早に、永久に続くと思われた栄光が去って行ってしまった。 川は、真っ黒に淀み、至る所で地盤沈下が見られた。空はいつも工場の煙りで覆い尽くしていた。 空気は濁り、鼻がツーンといつもしていた。臭い空気がこの町のシンボルだった。 橋の上を歩くのも慣れるまで勇気がいった。水銀が川の表面でものすごい匂いを出していた。夏の日差しの強い時は、とくに凄く、光に照らされた川は、キラキラと至る所で光っていた。 町のどこに行っても、この匂いから逃れることはできなかった。 町には栄光の残害しか残らなかった。しかし、一番の犠牲者は、町で暮らす人々だった。 仕事が減り、会社の至る所で従業員の首切りが行われた。 残れた従業員も、いつ自分の身に降りかかるかもしれないリストラの影に怯えなくてはならなかった。 ヒロの住んでいる社宅からは、たくさんの顔見知りの家族が、新しい職場に旅立っていった。 ヒロの幼なじみの同級生もいなくなった。石炭産業が最盛期の時は、たくさんの仲間に恵まれ、本当に楽しく生きていた。 ヒロが、小学校に入学した頃から、幼なじみ達は、この町から、去って行ってしまった。 ヒロが、小学校に入学した頃から、幼なじみ達は、この町から、去って行ってしまった。 ヒロは、小学校に行っても、昔からの顔見知りがまったくいなくなったことにショックを覚えた。
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