偽りの仲、過去への決別
ヒロは、学校では、誰とも仲良くできなかった。 ヒロが3年生になってクラス替えが行われた。その時、松山と同じクラスになった。 同じクラスになったが、松山とは、まったくといっていいほど、話しをすることはなかった。 5年生に進級すると、松山とは違うクラスになってしまった。 ヒロは、松山のことが気になっていた。話しかける勇気がなかった自分に後悔した。 しかし恭子のおかげで、松山と話すことができた。 ヒロは気になることがあった。松山といつも一緒にいる転校生のカズのことである。 ヒロはカズと会ったことがあった。 駄菓子で会った。いや得体の知れない生物と遭遇したといったほうが、いいかもしれないほど、ヒロは衝撃を受けた ヒロは、貧乏だった。 それでも小銭を貯めては、当時大人気だった戦隊もののライダーカードを買っていた。 それについてくるスナック菓子を妹や弟に分け与えるのが、ヒロの喜びでもあった。 駄菓子に入ると、先客がいた。それがカズであった。 カズは、ヒロが買うはずだったライダーカードを買い占めていた。カズはポケットから千円札を3~4枚出すと、店の婆に差し出した。 婆は、少したじろいていた。でもすぐに笑顔になると、奥からダンボールを持ってきて、店先にあるスナック菓子を入れた。 カズは、カードの束を無造作にダンボールに放り投げた。 ヒロは、目の前にいるカズを睨みつけた。 カズは、ヒロの視線を感じたからか、近づいてきた。 すると、カズは 「よかったらあげるよ。このスナック菓子。俺嫌いだから。」と言った。 すると、ダンボールから3袋ずつ妹と弟に渡した。 ヒロは言葉が出なかった。本当はお礼を言うべきなのだが。 ヒロは怒りに震えていた。やっとお金を貯めてカードを買いにきたヒロは、目の前で買い占められたのだ。 ヒロは、カズが悪魔の化身にしか見えなかった。しかし、いつもなら、3人で1つのスナック菓子を分けて食べていた、妹と弟は喜びを隠せずにいた。 妹と弟は、カズのことを、天使の化身にしかみえてなかった。