偽りの仲、過去への決別
ヒロの話術は、今までの鬱憤を晴らすかのように冴え渡った。 秀雄は、我慢の限界を超え、恭子を罵った。 理由が解らない恭子は呆然としていた。大好きな秀雄に何も言い訳できずに恭子は泣いてしまった。 ヒロは、満面の笑みを浮かべていた。 単純な秀雄に、ヒロの悪巧みがわかるはずがなかった。 恭子は、余程、人前で秀雄に、文句を言われたのが悔しかったのか、なにかと秀雄につかかっていた。 秀雄もさすがに、ちょっと言いすぎたと思い、罪悪感に捕らわれていた。 そこでヒロは、行動に出た。なんと秀雄の悪口を恭子に吹き込み始めた。 恭子は、ヒロが大嫌いだった。何を考えているかわからず、気持ち悪い存在にしか見えなかった。 しかし、恭子はヒロにいつしか心を許してしまっていた。 なぜなら恭子は恋多き女で、秀雄以外に好きな男がいた。 いつもヒロは周りの人間の話しを聴くことが、楽しくなっていた。 ヒロは、クラスの中では、無視されていた。空気みたいな存在だった。だから、誰もヒロには、気兼ねせずに、何でも平気に話した。 ヒロは、クラスの秘密ごとを、色々と知り得ていた。 恭子のこともよく知っていた。恭子は、いつも男の話しを友達としていたからだ。 だから、恭子の好きな秀雄以外の男の話しを餌に近づいた。 恭子は隣りのクラスの洋二が好きであった。 恭子も松山同様、用事をみつけると、隣りのクラスの女友達のところに行っていた。 ヒロは、松山に洋二の近況を何気なく聞きだしていた。 松山は、何も疑問をもたず、ペラペラと喋っていた。 松山は、あまり洋二のことが好きではなかった。何か気取っていて、人を下に見ているみたいで、とにかく、女にもてるところが嫌いだった。 ヒロは、洋二のことは、よく知っていた。いや知らない人間のほうが少ないのではないか。 洋二は、地元の御曹司だった。豪邸に住んでいる洋二は、それだけでも、凄い存在だった。 おまけに頭もよく、いつも学校では、リーダであり、クラス委員長でもあった。
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