偽りの仲、過去への決別
だから、いくら考えても後ろ向きな考えしか思い浮かばない。 自分の本当の姿を見つめ直すには、素直な考え方に、いかに近づくかであろう。 しかし簡単な事ではない。今までの考えを否定するからだ。 自分の価値観を否定し、アイデンティティさえも失ってしまうからだ。 人間は、今まで培われたすべての考えが無に帰せることは恐怖が伴うからだ だから、変わることが出来ずにいる。いつしか物事の矛盾から妥協に至ってしまう。 満たされない心を物欲でごまかしたり、人をむやみに傷つけたり、自分の変わり果てた心の傷の補填をしてしまう。 取り返しきかない状態に落ちいってしまう。 複雑なことを考えることが、未来の富を生むと思っていることが人間として必要だと勘違いしてしまう。 1番シンプルなことが、本当は難しいことを忘れてしまった。 自分自身に素直になることがいかに大切かを認識するだけでも今では大変な進歩である。 なぜなら、これだけ便利な世の中になると、多数な思考に支配され、色々な考え方に支配され、自分自身の本来の思考が働きずらくなってしまう。 いかに自分自身を見失うことなく生きていけることが必要になる。 自分に素直になることの貴さを知るには、まず自分を知ることから始まるであろう。 松山は、カズと結衣が仲良くなっていくことに焦りを覚えていた。 カズの挑発的な態度に腹もたったが、やはりカズと話せないことに寂しさを募らせていた。 ヒロはとにかく松山の気持ちをカズからそらすことに気を配った。 恭子のことを話したりして松山の心を引き戻そうと必死だった。 カズは松山の煮え切らない態度に苛立ちを隠せずにいた。 結衣と話しをしていてもどことなく上の空なところがあった。 カズもカズで自分に素直になれずにいた。カズの場合はとにかくヒロの存在がうっとうしかった。 いつの間にか松山のそばにいるヒロが嫌でたまらなかった。カズはヒロの存在を視界に捕らえることを拒否していた。