偽りの仲、過去への決別
いつの間にか松山のそばにいるヒロが嫌でたまらなかった。カズはヒロの存在を視界に捕らえることを拒否していた。 松山は、とにかくカズと結衣がどんな話しをしているのか気になってしょうがなかった。 ヒロは、カズにどんな制裁を受けさせるかを考えていた。 とりあえず松山をカズから離しておく必要があった。 しかし松山は、そんなヒロの心配をよそにカズのことばかり考えていた。 ヒロのもうひとつの課題、恭子の問題があった。 ヒロは、自分のクラスに戻ると洋二のことを話さなくてはならなかった。 いつも恭子はヒロからの話しを楽しみに待っていた。 ヒロは適当に洋二の話しをした。恭子はヒロから嘘の話しを聞かされていることなど思いもしなかった。 しかしこの日は真実を伝えた。ヒロはいつになく興奮していた。 ヒロはうれしくてしょうがなかった。 目の前であの洋二が結衣に振られたことが。 ヒロはありのまま恭子に話した。 恭子は一瞬動きが止まった。しかしすぐに笑顔になっていた。 恭子は、洋二が結衣のことが好きだったことを知らなかった。 結衣が洋二のことを好きだと思っていた恭子は、複雑な気分だった。 しかしこれで洋二は、ひょっとして恭子に興味を持ってくれるかもと期待してしまっていた。 ヒロにとって松山と恭子は単純で扱いやすい人間だった。 ヒロはいつもこの2人が本当はお似合いだと思っていた。 プラス思考で、すぐに笑顔で人の話しを信じる単純なこの2人が。しかしよく性格がにているからといっても、相性の問題なのか、縁がないのか、不思議なものでうまくいくとは限らない。 洋二はショックを受けていた。まさかこんな形で、結衣に断られたことは想定外の出来事だった。 今まで、人に拒絶されることのなかった洋二は、どうこれから結衣と接していいかわからなかった。 洋二自身、学校で優等生で、いつもクラスの中心的存在である。
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