偽りの仲、過去への決別
最初のうちは、クラスメイト達の視線が自分に注がれていることがわかっていた。 だから無様な姿を見せることなんかできないと自分に言い聞かせていた。 しかし、カズのすべてを見透かしているかのようなあからさま態度を見せつけられた。 洋二のプライドを守るだけの接し方ではカズに相手をされないと思った。 しかし、カズに対して何も言えずにいた。 ただカズを見て、茫然と立っている洋二が、カズはむかついていた。 「あのさあー。お前自分の意見なんてないんだなあ~。だってもし俺が何事かで困っていても相談できる相手ではないよ。」 カズは洋二を睨み付けた。 いつもクラスメイトに祭り上げられ、それが当たり前のように過ごしている洋二を見ているだけで腹が立った。 「そんなに結衣ちゃんに振られた事が気になるのか。」 カズは言った。 洋二はカズとただ話しをしたかっただけだ。なのにカズにはそんなことが通じてはいなかった。「いや今日は結衣ちゃんと話しをしたいんじゃなく、君と話しをしたいんだ。」「なぜ俺と話しをしたいんだ。意味がわからない。」 カズは不信感を覚えていた。洋二もカズの不信感が全身に伝わっていた。 カズは思い出していた。カズがクラスメイトに笑われている時、洋二が一応学級委員の立場上話しかけてきたことを。 まったく自分の意見もなく、簡単に物事を流そうとしている態度に、カズは洋二に嫌悪感を覚えていた。 結衣は2人の会話に入ることをためらっていた。 自分が話すことによって無用な混乱を避けるためだ。 少し洋二に言い過ぎたと後悔していた。「俺もわからないだ。ただ君とちゃんと話しをしたいんだ。」 「へえ~それって学級委員の立場でかい。俺は別に悪いことなんかやってないし、注意されることもないし。」 カズは嫌みたっぷりに言った。「学級委員の立場じゃなくて。」 洋二は段々腹が立ってきた。 しかしここで怒っても事態の好転になるとは思えなかった。洋二は冷静になった。 カズは今までの洋二とは、どことなく違って見えた。 2人の会話を近くで聴いている松山がいた。 松山にとってなぜ洋二がカズに話しかけているのかわからなかった。