偽りの仲、過去への決別
毎日くだらないことしか話しをしていない恭子に本当のことを言ってしまったのかヒロにはわからなかった。 洋二はことある事 カズに話しかけてきた。 カズは最初のうちはあまり話そうとしなかった。 カズは洋二に心を許すことが出来ずにいた。 カズには自分の考えを全うするしかないほど本当はいつも追いつめられていたのだ。 カズは転校生の宿命なのか、自分の感じた、第一印象を大切にしていた。 それを元にファストインプレッションを行い、後々までその印象を変えることはなかった。 カズはそうやって新しい場所で生きてきた。 だからなかなか洋二に対する印象がすぐによくなることはなかった。 あまりにも洋二の印象が悪すぎた。 カズは自分が判断したことの間違いや変更を認めることが出来ずにいた。 認めてしまうと今までの自分がなくなりそうでいやであった。 自分のアイデンティティの消失が、いかに簡単に起こることをカズは幼い時から知っていた。 カズにとって、新しい場所での人間関係は、シビアであった。 少しでも間違いを犯すと、その場所ではなかなか修復が難しかった。 ずうとその場所に居れる保証がなく、他の人々とは違って、時間がなかった。すぐにでも自分に合う判断を必要としていた。 家庭ではすべてが崩壊しているカズにとって自分自身しか頼るものはなかった。 あてにならない親子関係を生かせる程カズには、余裕も気持ちもなかった。 自分自身の考えをすぐに生かさない限り自分の居所はなかった。 だからこそ、最初の印象を大切にするしかなかった。間違いでも突き進むしかなかった。 自分の意志を持たないと何も前進することがなかった。 洋二と違って周りの人々の配慮もなく、松山みたいに親の教えも期待できなかった。 カズと洋二は時間とともに段々と仲良くなっていった。 洋二はカズが聞いてもいないのに、自分の家庭環境、クラスでの立場などを勝手に話しをした。 カズと結衣は洋二の話しに耳を傾けていた。
< 51 / 132 >

この作品をシェア

pagetop