偽りの仲、過去への決別
とにかくカズの様子を見張ってなくてはならなかった。 こんなガキに自分の立場が悪くなるなんて絶対さけなければならなかった。 結衣は今までこんなに嬉しそうに話す洋二を始めて見た。やはりカズには人を引きつける魅力があるのだろう。 それと形は違えども、親子関係がうまくいっていない共通点があった。 傷の舐めあいまではいかなくても、お互いに、惹かれあう要素は存在していた。 カズは洋二に興味を持ち始めていた。 洋二に同情したわけではなかった。 松山と違って負の部分に興味を持った。大人達に知らぬ間に振り回され、我慢をいつ何時でも強要される。 カズも洋二も環境が違い、立場も違うが、求めているものは人への愛情だった。 結衣は洋二に対して前とは違って友好的になっていった。 結衣はカズと洋二にうちの食堂に食べに来るように誘った。 カズは素直に喜んだ。洋二も喜んでいた。 ヒロはとにかくカズをまずは松山から離さなければならなかった。 カズの悪口をさりげなく言っても松山は聞いていなかった。 ヒロはカズを排除することに全力を注いだ。いかにして痛めつけるかを。 兄貴達にカズのことを襲う算段はつけた。 しかしただ痛みつけるだけでは、物足りなかった。 一番いいのは、その後にいかに近付くことが先決だ。 善人なふりしてカズと仲良くなり、松山との仲を阻止するか、それとも兄貴達と一緒にカズを痛めつけ、金輪際ヒロに刃向かえなくするかであった。 ヒロはどちらにせよ、現場の雰囲気で決めようと思っていた。 兄貴達にカズの情報を教えた。兄貴達は良いタイミングでお金に困っていた。実行は時間の問題であった。 カズの帰り道を待ち伏せして襲う為、兄貴達は、人気のないカズの社宅がある山の中腹に隠れていた。 カズは松山と喧嘩して以来1人で家に帰っていた。 ヒロはリサーチ済みであった。 ヒロは距離をとってカズの後を付いていった。
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