偽りの仲、過去への決別
カズの傷は思っていた以上に重傷だった。カズの意識が戻らなかった。 カズの祖父はカズの入院した病院に泊まり、毎日手を握って祈っていた。看護婦に辞めるように促されても止めなかった。 父親も毎日姿を見せた。しかし病室には入らず、カズの容体をうかがっていた。 カズの兄は、祖父の横に座り、悲しげな表情を浮かべていた。 母親には、父親がまだ連絡していなかった。 眠っているカズにはもう両親のことなんてどうでもよかった。 誰にも用事などなかった。やっと1人になってゆっくりできた。もう目を覚ます理由などなかった。 カズが入院したことが学校中の話題になっていた。 中学生を痛めつけ、自分も傷を負って入院しているカズをみんながヒーロ扱いにしていた。 その中学生がヒロの兄貴達であることも知れ渡っていた。 ヒロの兄貴達は入院はしていたが、もう元気であった。 ヒロの家と兄貴達の病院に警察が来た。なぜこんな事になったのか事情聴取に来たのだ。 警察は兄貴達を疑っていた。母親は必死で兄貴達をかばっていた。 カズの意識が戻らない限り警察も動きようがなかった。 ヒロにも警察が事情を聴いてきた。 ヒロはカズがいかに学校で変わりもので、孤独で暴力的なところがあるかのように嘘を言った。 しかしヒロは明らかにヒロ達を疑っているのがわかった。 それでもヒロは嘘をつくしかなかった。もう選択肢がなかった。 警察はかつあげの被害届をつい最近受理していたのだ。そこには2人の中学生に襲われたことが記されていた。 ヒロ達は知らなかった。 ヒロは学校で疑惑の目に晒されていた。今までのかつあげの件も学校中に知れ渡っていた。
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