偽りの仲、過去への決別
松山にとって洋二がカズの事で意見することに怒りを感じた。いや嫉妬に近い感情であった。 「そんな事で納得するわけないだろう。」 洋二は松山に歩み寄った。 松山も洋二の迫力に負ける気なんてさらさらなかった。 松山も洋二に歩み寄った。2人の顔がぶつかる距離まで近づくと、洋二と松山は睨みあった。 「松山お前カズと仲良かったんだろう。どうしてこんな奴を信じられるんだ。」 洋二はヒロを指差して言った。 松山はとにかく洋二が気にいらなかった。 「洋二より信じられるよ。」「松山お前知っているのかよ。こいつの兄貴達はいつもかつあげして、カズも標的にされたことを。」 「大体の事は知っているさ。だから何だって言うんだよ。ヒロが無関係て言ってんだから無関係なんだ。」 松山は自分に言い聞かせていた。 松山は不思議な感じがした。なぜ洋二がこんなに強くクラスメイトの視線など気にせず抗議できるのかわからなかった。 松山の洋二に対する印象がこの時点で変わっていった。 あれだけ自分にポリシーの欠片もなく、クラスメイトにいいように操縦されていた洋二の姿はそこにはなかった。 ヒロも松山と同じ印象を受けていた。 カズと仲良くなってから洋二の人に接する態度があきらかに違っていた。 近くにいた結衣も洋二の変貌に驚きを隠せずにいた。 洋二はカズと色々な話しをすることによって、自分の長所や短所が浮き彫りになってきた。 カズが洋二によく注意していた。自分の意見がない奴に人の意見がわかるわけないと。 自分の意見を持たないと人の意見の本質がわかるわけないと。 自分のことは自分で結局考えないと何も始まらない。1人で考え、悩み苦しみやっと自分の意見が持てる。それの繰り返しで自分の良い所、悪い所がわかってくる。 洋二には何事も人任せの所があった。それでは、なんのスタートもきれないことであった。