偽りの仲、過去への決別
カズは洋二に自分の本心をさらけ出すことを要求した。 しかし洋二はなかなかカズに本音で話すことができなかった。その度にカズによく注意された。 当たり前のことだが、洋二にはそんな経験など皆無で慣れるまで時間がかかった。 カズと同様に結衣も洋二に最初は非常に厳しく接していた。 自分の意見のベースがあってこそ、人の意見の真意を考えることができ、相手の良き考えを共用できる。 何事も否定的にならず、自分にあった意見をより一層磨きをかけ、進歩できる。 洋二は始めて人を受け入れた。人の意見を聞いて、話しの本質を見抜き、判断してこそ自分の意見が生かされることをカズと結衣から洋二は学んだ。 洋二の本心が見えたからこそ、2人は洋二の意見を認め、仲良くなった。 洋二はカズのおかげで自分でも理解できなかった本心に気付いた。 いつも何かに追われ、目に見えぬプレッシャーに押しつぶされ、洋二の心は沈んでいた。理由なんてわからず、自分の存在自体を憎むこともあった。 周りの人間に振り回され、自分の考えさえ覚束ない洋二は、学校でも家でも自分の居場所をさがせすにいた。 「松山はカズがなぜこいつの兄貴達に襲われたのか想像できないのか。」 洋二には確信はなかった。でもその場の勢いで言ってしまった。 確信はなかったが、洋二にはヒロがこの事件について、本当のことを松山に話しをしたとは思えなかった。 「想像なんかできるわけないよ。確かにヒロの兄貴達とカズがけんかしてあんな結果になったけど。でもその場にいなかったんだからわかるわけないだろう。」 松山は頭の中が混乱していた。 ただでさえカズの意識がもどらず、すぐにでも病院に駆けつけたい気持ちを抑えつけている松山は洋二の意見を聞ける程余裕はなかった。 「もういいよ。」 洋二は諦めた。 ヒロは2人の会話を何も言わず聴いていた。 洋二の勘の鋭さに警戒を募らせた。ここまで松山を悩ませることを言うなんて考えもつかなかった。 せっかく松山を信じ込ませたのに、洋二のおかげで、また疑問を持たせてしまった。
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