偽りの仲、過去への決別
ヒロは洋二に対して何か言わないと気がすまなかった。 「俺が関わってないといけないみたいだよなあ、洋二君は。」 ヒロは嫌みぽく言った。 洋二は今度はヒロを睨みつけた。 洋二はヒロの感情を逆撫でしたことに気付いた。 洋二にとっては好都合でもあった。「誰がどう見ても無関係であるわけないだろう。」 「兄貴達のやったことなんか俺は知らなかったし、第一カズなんて奴よく知らないし。」 ヒロは平然としていた。こんな奴に俺の心情が読めることなんてできないと思っていた。 「そうかなあ。じゃあなんでカズのことを待ち伏せできたんだ。カズのこと兄貴達に話したたろう。」 洋二はヒロの嘘を暴こうと思っていた。この際、はったりや嘘の言葉を総動員させてもいいと自分に言い聞かせていた。 ヒロは洋二の心情を計りきれずにいた。こいつは町の有力者の家系で、ヒロがまだ気付いていない情報をつかんでいるかもしれない。侮れると痛い目に合うかもしれない。 「そんなことわからないよ。偶然だと思うよ。今度兄貴達に合ったらなぜけんかになったのか聞いておくよ。」 ヒロは当たり障りのないように言った。 ヒロは洋二の質問の意図が明快ではないことに疑問を持っていた。こんな時こそ罠をかけられることが多いことをヒロは経験で知っていた。 しかしこんな自分のポリシーも意見もない奴が自分に罠なんてかけてくる勇気などないとヒロは思い込んでいた。 洋二のことを舐めてかかってしまった。 「俺知ってだぞ。お前の正体。お前がカズを面白くないってことも。」 洋二は確かに確証はなかった。でもカズはヒロのことがどうも好きでないことだけはわかっていた。 元来松山とカズの間に入り込んできたのはヒロである。「俺の何を知ってんだよ。」 ヒロは凄い形相で洋二を見た。 ヒロは内心焦っていた。ひょっとしてこんな奴に真実がばれているなんて考えたくもなかった。こんな所で足元をすくわれることだけは避けなければならなかった。
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