偽りの仲、過去への決別
家庭がうまくいかない息子にちゃんとした指導もできなかった。 祖父は父を厳格に育てた。いつも人より勉強ができることを優先した。 父は祖父の要求をことごとくクリアした。だから父にとって祖父の期待に答えた自分が責められることに不快感を表していた。 父親は口には出さなかったが祖父がなぜ家庭崩壊の原因が自分1人に負わせるのかが不満であった。 子供の頃から祖父の顔色を見て育った父は、勉強さえできれば機嫌がいいと思い込んでいた。 だから父は期待に応えた自分が大人になってもいつも小言を言う祖父がうっとしくてしょうがなかった。 父親はカズやカズの兄とどう接していいかわからなかった。すべて母親に家庭を任していたのに急にいなくなるし、家庭の為に精一杯働いているのに、何一つ報われないことに嫌気が差していた。 カズの母親とは音信不通であり、今回の事件も伝えていなかった。 カズの母親とは音信不通であり、今回の事件も伝えていなかった。 母親は実家に帰り、働いている。子供のことを脇におき、自分の人生を取り戻している。 カズは母親がカズや兄を置いて家を出たことが許せなかった。 母親が出て行く当日まで何の前触れもなかった。 簡単に見捨て行った母親が憎くてたまらなかった。 正直母親がカズを連れて行ってくれなかったことに憎しみを持った。 出て行った母親から電話も手紙も来なかった。 何の説明もしてくれない父親にも怒りを感じた。 大人の身勝手な行動にカズはやるせなさと諦めの気持ちになっていた。 祖父はそんなカズが不憫でならなかった。 祖父はカズや兄を引き取って育ててもよかったが、内心はもう一度子育てする自信がなかった。 だからカズの悲しみを知っていても、責任を持って引き取る勇気はなかった。 カズも最初のうちは祖父と一緒に暮らしたいと哀願した。 しかし祖父は聞き入れることはなかった。 カズは徐々に祖父に何も言わなくなっていた。