雪情
【カモシカー9】


「さあ、
次は家より少し下った
ところなので

また歩きますが、
皆さん頑張りましょう」






と白井が考えつく前に、

行くことが決まって
しまったのである。






「本当に行くのか?

確か山の中盤辺りは
出たというのは
聞いたことないが」




焦った白井は
とっさに嘘をついた。






「当たり前だ。

もしかして、
可能性があるからな。

ほれ、行くぞ」






そう言うと、
田崎は歩き出して
しまった。






「お、おい待てよ」





白井は
すぐに田崎の後を追い、

山を下りながらも
話しかけていた。






「やっぱ
警察の大掛かりな
捜査でも
探せなかったんだから、

俺らだけで見つけるのは
無理だよ」






「それでもヤツは
我々の前に現れ、
荻原さんを殺したんだ。

ワシらが
見つけられないって
こともないだろう」





「あれは吹雪だから
現れたんだろう?」





「なら吹雪になれば…」





そう田崎が言いかけたが
白井はすかさず言った。






「おっと
吹雪になるのを
待っているワケは
ないだろう?

もともと吹雪は
視界も悪く危険だから

こうして
吹雪が止んだのに
合わせて
捜索に来ているんだろ」






「そうだったな……

だが吹雪になったら
引き上げるが、

今はまだ捜索を続けるぞ」






田崎は諦めることを
知らないので、

吹雪になるまで
探し続けそうな
勢いである。






そんな性格を
白井は知っているので、

今止めなければ
手遅れになると
感じていたのであったが

これ以上
田崎を止める理由を
浮かぶことが
できなかった
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