雪情
【カモシカー11】


雲行きが
怪しくなってしまえば
こっちのものだ。



それを理由に
いつでも捜索を
中止させることが
できるからである。






そして、
一同は
自分達の居た家を横目に
山を下って行った。






「あ……また木だ」





と白井が言うと、
先程より木は多くないが

林道にさし掛かった。






しかし
天気が良くないせいか、

辺りは先程より
暗く静まり返っていた。






他の皆も
あまり良い顔はせず、

人間の心理的に
夜の林道は
好ましくないもので
あった。







ましてや
殺人鬼の潜む山。





障害物が多く
狙われやすい道は

避けたいものであった。






「これでも
行くって言うんだろ?」





白井は
そう田崎に言った。





「分かっている
じゃないか。

でもワシも
正直足を踏み入れたく
ないよ」







「でも
「行かないわけには
イカン」だろ?

止めても
無駄なのは
分かっているよ」






と白井は言い
一同は林道を歩き始めた







こんな不気味な道は
歩きたくないものだと
皆がそう思っていた。






すると、
歩いて間もない頃

道先の異変に気付く。






「なんだ、
あの黒い物体……」






白井がそう言って見ると

田崎達の歩く道先に
黒い物体が置いてあった







ソレに近付くごとに
「赤いもの」も
見えてきた。






もちろん
その赤いものとは
血のことであった。






恐る恐る近付いて見ると

ソレの正体が
明らかになった
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