比丘尼の残夢【完】
「生きてたんですか!」

「殺すなよ。ま、こんなにかかっちまったけどね。
驚かせようと思って、全快するまで来るのを我慢してたんだ」

驚かせようと思って、連絡も、手紙もくれなかったんですね。

ご主人様らしいですね。

私のことなんて、忘れてしまったとばかり思っていました。


「あ、まずはご挨拶を。... お前のお父上はどちらだ?」

「死にました」

ぽっくりと。


「ではこのうちの家長はどなただ」

「兄ちゃん!」

「ひぃっ... 」

お化けでも見たかのように、兄ちゃんは尻もちをついた。


そりゃそうだ。今まで悪口言っていた本人が現れたのだから。

存分に驚いて頂こう。


「夜分突然お邪魔して申し訳御座いません。
一年前までナナミさんに、大変お世話になりました」
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