比丘尼の残夢【完】
その米粒食べなくても。

こうやってもう一度お会いできただけで、十分幸せですから。

元気になったのなら、誰かちゃんとした女性としたらよいではないか。


「いやなの?」

「いや、いやじゃないですけど、... 想像もしていなかったと言いますか。
夢見てるみたいです、まだ」

触れる。

ここにいる。

驚いて私が死んでしまって、実はここはあの世だとか?



隣の部屋から、私を現実に引き戻す泣き声が響いた。


「ナナミ、泣いとるよナオツグが...... 」

「ぶはぁ! その名前は言っちゃダメ!!」

「... !?」

空気の読めない弟の口を押さえて、隣の部屋に駆け込んだ。


抱きあげればすぐに泣きやむ。

普段ぐずりもしないくせに、何故こんな時に... !
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