Painful Love※修正完了※


「……え?」


転、勤。


「引っ越さないといけなくなっちゃったんだけれど、この家をどうしようか……と思って。」

「どこに、ですか?」

「長崎なの」


「長崎……」

遠い。


申し訳なさそうに低いトーンで話す叔母さんとは正反対でわたしは軽く答える。


「売って構いませんよ」


「でもこの家は、時雨と親の思い出が沢山詰まった物だろう?簡単には売れないよ」

……思い出、ね。

そう言われて思い返してみれば思い出は沢山ある。

けれど、同時に思い出すのが辛くなる。


「……良いですよ。わたしは向こうに家があって住んでますし、叔母さん達が居ないなら帰る理由も無いですし……」

誰も住まないのにお金を払わなきゃいけなくなるのも勿体ない。

「でも、ここには墓が」


「お墓参りだけなら日帰りでも可能ですから」

朝早く出れば、帰ってくるのは遅くなるけれど日帰り出来ないこともない。


わざわざ年に数回のお墓参りの為だけにここを残すのも……。




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