Painful Love※修正完了※





いつも制服で歩いていた駅までの道をスーツ姿で歩き、大人になったなぁ、と。


年月が経ったと感じる。





―――電車に揺られて、古い無人に近い駅で降り、そこから坂道を上って十数分。

周りよりも少し高い山の斜面に建てられた霊園。


空気も綺麗で、ここなら気持ち良く眠れるだろうと、初めて来てみて思った。


叔母さんに貰った地図を見ながら階段を上り、通路を歩いていく。


「……あった」

斎藤家と彫られた墓。


お父さん、お母さんがいる墓。

「久しぶり、お父さん、お母さん」


墓石に触れながら話し掛ける。


石自体はひんやりして冷たいはずなのにここに2人が居ると思うと体の中から温かい何かが出てくる気がした。



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