Painful Love※修正完了※
沈黙を破ったのは俺。
佐奈子は一瞬肩を揺らした後、ゆっくりと頷いた。
「時雨が卒業までに戻ってきたら……破棄するって話」
帰って来なければ結婚。
帰ってくれば婚約破棄。
その約束で、俺は佐奈子と婚約した。
「時雨が帰ってきた。だからさ……婚約……、」
「嫌」
最後まで言う前にバッと顔を上げた佐奈子。
目は真っ直ぐ強い意志を持って俺を見る。
……やっぱり。
素直に引いてくれるとは思わなかった。
時雨を好きでも良いから付き合って、なんて言うほどだしな。
でも、もう中途半端には出来ない。
約束は約束だろ?
このまま俺達が一緒にいたって、佐奈子と結ばれる事は無い。
他の人を思っている男なんて捨てて欲しい。
早く別れて、
佐奈子をしっかり見てくれる男と結婚した方が、佐奈子にとっても一番良い選択のはず。
「……約束しただろ?帰ってきたら破棄する。それでも良いからって言ったのは佐奈子だろ」
努めて落ち着いて冷静に話す俺。
必ず、今日きっちり話をつける。
俺も感情的になって、佐奈子も感情的になって話がまとまらなくなったら困るから。
「でも……時雨さんは拓斗を必要としたの?ただ一時的に帰って来ただけじゃない」
「それでも帰ってきた事は帰ってきただろ」