Painful Love※修正完了※

沈黙を破ったのは俺。

佐奈子は一瞬肩を揺らした後、ゆっくりと頷いた。


「時雨が卒業までに戻ってきたら……破棄するって話」


帰って来なければ結婚。

帰ってくれば婚約破棄。


その約束で、俺は佐奈子と婚約した。

「時雨が帰ってきた。だからさ……婚約……、」


「嫌」


最後まで言う前にバッと顔を上げた佐奈子。

目は真っ直ぐ強い意志を持って俺を見る。


……やっぱり。

素直に引いてくれるとは思わなかった。


時雨を好きでも良いから付き合って、なんて言うほどだしな。


でも、もう中途半端には出来ない。

約束は約束だろ?


このまま俺達が一緒にいたって、佐奈子と結ばれる事は無い。


他の人を思っている男なんて捨てて欲しい。


早く別れて、

佐奈子をしっかり見てくれる男と結婚した方が、佐奈子にとっても一番良い選択のはず。

「……約束しただろ?帰ってきたら破棄する。それでも良いからって言ったのは佐奈子だろ」


努めて落ち着いて冷静に話す俺。


必ず、今日きっちり話をつける。


俺も感情的になって、佐奈子も感情的になって話がまとまらなくなったら困るから。

「でも……時雨さんは拓斗を必要としたの?ただ一時的に帰って来ただけじゃない」


「それでも帰ってきた事は帰ってきただろ」



< 214 / 241 >

この作品をシェア

pagetop