「金剛戦士Ⅱ」西方浄土
高知市内では、ほぼ毎日、場所を変えながら市が立っていて、今日の午前中は、六人は連れ立って、市が立っている通りを見て回って歩いた。

目当ての買い物があるわけでは無いのであるが、たくさんの店が出ていて、見ながら歩いてゆくだけでも、けっこう楽しかった。

そして昼になり、グルメに詳しいお婆ちゃんたちに昼食を何にするか訊ねたのであるが、由紀の後ろから理絵が声を掛けてきて

「私、以前にお婆ちゃんたちから教えたもらった鯨料理が食べてみたい」

と言ったので、紀恵お婆ちゃんが

「鯨料理もいいけど、土佐ジローの料理も、おいしいわよ」

と理絵に言うと、理絵が紀恵おばあちゃんに

「それって、ここの近くにあるお店なの。その土佐ジローさんのお店って何の料理を作っているお店なの」
と訊いた。

それを聞いたお婆ちゃんたちが、笑っている。

「土佐ジローは人の名前と違うのよ。鳥の種類についている名前なの。名古屋コーチンみたいにね。つまりは鳥料理ってことよ」

と真知子お婆ちゃんが、理絵に説明すると、理絵は

「え~、本当なの。知らなかった」・・・

言いながら由紀を見ると笑い転げている。

理絵は、それを見て、何となく悔しくなってきて

「お母さんは、知ってたの」
と強い調子で訊くと。由紀は

「まあね」
と言いながらも、なおも、こらえきれずに笑っている。
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