「金剛戦士Ⅱ」西方浄土
実際のところは由紀も知らなくて、理絵が訊ねなかったら、もう少しで自分が訊ねるところであったのだが、タイミングよく理絵が訊ねてくれて助かったのである。

そのことで余計に由紀は可笑しかったのである。

結局、昼食は土佐ジローの料理を食べに行くことになり、鯨料理は、夜に食べに行こうということになった。

昼食後、三十三番を打ち終えると、桂浜に向かった。

駐車場から海岸に向かって歩いてゆくと、目の前に太平洋が広がり、白砂の浜が弧を描いて続いている景色が目に入ってきた。

周囲には松の緑が広がり、西には岩礁の岬が突き出ていて、その上に小さな社が建っている。

「綺麗・・・これは自然が造った庭園だね」

勇太の言葉に全員が頷いた。

それぞれが会話を交わしながら浜辺の波うち際を歩いていると、紀恵お婆ちゃんが

「冬場になるとね、運がよければ高知の海岸から太平洋に沈む夕日を見ると、だるま太陽って呼ばれている夕日を見られるんだって。写真でしか見たことがないけれど、夕日が人の姿の肩から上の姿みたいに見えていたわ」

由紀が太平洋の水平線を見ながら

「冬場だけなのかぁ・・・残念ねぇ・・・」
と言いながら歩いて行く。
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