アクアマリンの秘密
そっ…そんなわけないじゃない!!
聞いてほしい顔ってどんな顔よ?
それに…私には…あなたに聞いてほしいことなんてないわ。


「白斗が言っていた。」

「白斗…?
あぁ…ディープオーシャンの泉臣白斗ね。
何て言ってたのよ?」

「…苦しい時は人に話すと楽になるそうだ。人に話を聞いてもらうと、痛みも和らぐ…。…確か奴はそう言っていた。
俺は白斗のようにヒールを使えはしないが、話を聞くことくらいなら出来る。」



そう言った紫紀の目が、やっぱり鋭くて私の心を見透かしているみたいだった。
それに、なんだかもう私が何を考えているのか紫紀にはバレているみたいな気がして、私は閉ざしていた口を開いた。



「ヒールを使えないのは私も同じよ。」

「え?」

「…この国で一番の魔力を持つ『有坂華央』でありながら…
大切な家族を救うことさえ出来ないなんて…
笑っちゃうわよね、本当に。」



紫紀は何も言わなかった。



「笑ってよ。お前、ヒールも使えないのかって…。」

「…笑えない。」


紫紀はたった一言、そう呟いた。




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