地味子の秘密 其の四 VSかごめかごめ
“陸の近くにいて、笑っていられるか”

“泣くようなことはないか”


「はい」


会長が、あたしのことを考えてくれてるのが……充分わかった。


「……アイツといて幸せか?」


変わらない優しい目で、尋ねられる。


「はい」

今は、迷うことなく頷くことが出来た。


「……ならいい。泣く姿をもう見たくねぇし、お前が笑っていられるならいい」


“誰とどこに行こうが”


そう続けると、テーブルから下りて……あたしの目の前に立つ。


「か…いちょ………」


背の高い彼を見上げた。


「泣いた分……アイツに幸せにしてもらえ。また泣かされたら、次は本当に奪ってやる」


ポンポン……とあたしの頭を撫でられる。


その表情は……優しさで溢れてて、会長が本当に素敵な人なんだと思えた。
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