ソラを見上げれば・・

「碧。じゃぁ、気をつけてね。」

お母さんが家の前に立ってあたしをお見送り。



「うん!もう慣れてるから。」


少し目線を落とす。



お母さんの顔を直視できないのはもう2度と会えないから。


こんなときこそ顔を合わせてお礼を言わないといけないのにね。





「・・・お母さん、ありがとね。」


小さい声でしか言えなかったけど


ちゃんと聞きとってくれるんでしょ?



「?どうしたの急に。」


笑ってあたしを安心させてくれるの。





「仕事頑張ってね。」



それだけ言うとあたしはタクシーに乗り込んだ。




笑ってあたしに手を振ってくれているお母さん。





“お見舞い行くからね”って言ってくれてる。






ありがと・・・お母さん・・・




ありがとう・・・・



ぐっと涙をこらえてあたしは手を振り返した。




さ よ な ら



口だけ動かして。



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