鏡村【短編】
鏡を割るのに使っていたのだろう。


その刃物が振り下ろされた。


私を目掛けて。


間一髪で私はよける。


そのまま、考えも無しにただひたすら走った。


転びそうになる足を持ち堪えながら。


足を止めたら今度こそ命は無い。


このままじゃ追いつかれる。


距離を縮められ焦りが増す。


死にたくない。


生きて、みんなに会いたい。


鬼のような形相で男は追いかけてくる。


こんな状態では鏡なんて見つけられない。


諦めよう。


もう気力はあまり残ってはいなかった。


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