ADULT CHILDREN
「はい」


『さえこ?』


「…何?」



こうして父と話すのはどれくらいぶりだっただろう。




『元気か?』


「うん。何?」


『ちょっと頼まれたいことがあってな…』




すぐにその言い草でわかった。



「お金なら無理だよ」



『…そうか』



「お父さんさ…」


あんなに憎んでいたはずなの
声を聞くと苦しくなる。

自分を責めてしまう。
自分が酷い子供に見えてくる。


けれど、このままではいけない。



電話を持つ手を震わせながら言った。


言わなきゃ…と思った。

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