流れ橋
わたし、ずっとこういう情景に憧れていた。
こんな穏やかな日に、誰もいないような場所を彼氏とゆっくり自転車に乗って散歩するという憧れ。
でも今は、そんなことを考えている場合ではなかった。
わたしは、大きな深呼吸をした。
「田中くん、わたしね、さっきスーパーでお父さん見たの。」彼の背中ごしに話をきりだした。
「今、わたしのお父さん、病気で家で寝てるから、何かあったらいけないと思ってパニックになっちゃった。」声が自然と小さくなっていく。
「お父さんの病気って、そんなに重いの?」彼は、少し後ろを振り返る。
「心の病気なんだ。いろいろあってうつ病になったんだ。」
しばらく、沈黙が続いた・・カタンカタン。自転車の音だけが聞こえてくる。
「変なことに巻き込んじゃってごめん。でも、こわいんだ。最悪なことが起こってしまったら。」
「大丈夫だよ。そんなんじゃないよ、きっと。僕一緒に家に入ろうか。」
こんな穏やかな日に、誰もいないような場所を彼氏とゆっくり自転車に乗って散歩するという憧れ。
でも今は、そんなことを考えている場合ではなかった。
わたしは、大きな深呼吸をした。
「田中くん、わたしね、さっきスーパーでお父さん見たの。」彼の背中ごしに話をきりだした。
「今、わたしのお父さん、病気で家で寝てるから、何かあったらいけないと思ってパニックになっちゃった。」声が自然と小さくなっていく。
「お父さんの病気って、そんなに重いの?」彼は、少し後ろを振り返る。
「心の病気なんだ。いろいろあってうつ病になったんだ。」
しばらく、沈黙が続いた・・カタンカタン。自転車の音だけが聞こえてくる。
「変なことに巻き込んじゃってごめん。でも、こわいんだ。最悪なことが起こってしまったら。」
「大丈夫だよ。そんなんじゃないよ、きっと。僕一緒に家に入ろうか。」