流れ橋
わたしは、ホッと息をついた。そして、自分の靴をぬぎながら、お父さんを呼んだ。

「ただいま。今、帰ったよ。」

玄関に、カバンを置いて、スリッパに履き替えた。

わたしは、廊下をパタパタと音をたてて歩いた。

歩いていくと、テレビの音が聞こえてくる。
「お父さん。」わたしは、部屋のドアを開けた。テレビがついているが、部屋の中は、誰もいない。

変だな。それから、隣の和室やトイレ。台所を探してみるがいない。

わたしは、二階に上がった。二階は、わたしの部屋とお姉ちゃんの部屋、両親の寝室があった。

わたしは、順番に部屋に入る。物音ひとつしなかった。

最後に、両親の寝室のドアをあけ、中に入った。

部屋は、和室になっていて、仏壇が置いてあった。

わたしが中に入ると、お父さんが、仏壇の前に仰向けになり、横たわって寝ている。

なぜか、スーツ姿をしていて、手は、前に組んでいる。
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表紙・目次

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