世界で1番愛してる


私は制服姿のまま街を走った。

駅から少し離れた場所にある総合病院。

そこに涼太がいるって思ったら人目なんて気にしていられなかった。







「あ、あの……杉、村涼太と言う人が入院してるって…っ」


渇いた喉から声を搾り出してそう言うと、受付の医療事務のお姉さんはパソコンを見ながら優しく笑ってくれた。



「杉村涼太さんですね?

はい、入院なさっていますよ。」


本当に此処にいた…。
走った後に流れる汗じゃなくて、嫌な生温い汗が頬を伝って掌をギュッとにぎりしめた。



「部屋を教えて頂けますか?」

「はい、えーと……608号室ですね。この通路を真っすぐ行って突き当たりのエレベーターを使えばすぐですよ。」

「…ありがとうございます!」


丁寧に道程を教えてくれた医療事務のお姉さんに頭を下げて、はや歩きでエレベーターへ向かう。



入院っていつから?

どうして入院してるの?

涼太は無事だよね?



色々な思いが交錯する。

何も知らなかった自分が吐き気がするくらいに嫌いになった。





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