世界で1番愛してる

再会、再開



"608 杉村涼太"


確かに彼の名前があった。

スライド式のドアに手を掛けたまま、気持ちを落ち着かせて、一つ深呼吸をしてからドアの取っ手部分に力を入れて横にスライドさせた。



「………シズ?」


いた……。
ただ名前を呼ばれただけなのに…その姿を見ただけなのに滝のように止まらない涙。



「どしたー?」

「ど、…どうしたじゃない!なんでっ…」


言いたい言葉はたくさんあるのに、どうでもよくなった。

涼太が無事なら良い。

また会えただけで良い。



「連絡できんくてごめんな?ここ携帯禁止なうえに携帯自体を家に忘れてさ…」


私が泣いていたら困ったように笑ってる。
手で、おいでおいで、って手招きしてくれて…今頃感じた疲れで重たい足を必死に動かして涼太に近づいた。



「泣くなよー。」

「涼太のせいっ…もー……しんぱいした…っ」

「ごめんな?」


ギュッて抱きしめてくれる大きい手と前に感じた時より少し痩せた腕に安心して息を吐いた。

背中を撫でてあやしてくれる涼太に本当に安心して、やっと止まった涙を拭いてから涼太を睨みつけてみた。



「…………何で入院…?」


そう、私が聞きたいのはそれ。

滅多に風邪も引かない健康をそのまま体にしたみたいな涼太が入院なんて違和感がある。

見た感じは怪我なんてしてないし。



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