世界で1番愛してる



「下手なドラマとかだったらさ…病気になったら相手を思って離れたりとかすんじゃん?

あれ絶対間違ってるよなー。」


少し窶れた顔で前と何の変わりもなく笑う涼太はちょこっとだけ難しい顔をして急にそんな事を言ってきた。



「…どうして?」

「だってよ…好きなら絶対離れられないだろ。
それに好きな奴に支えてもらえるならどんな逆境だって超えられるだろうし。
病気になったって死にそうになったって、好きなら一緒に乗り越えればいいしな?

ほんとに相手を思うなら別れるなんてできねーな、俺は。」


涼太…貴方はどうしてそんなにカッコイイの?

確かにドラマや漫画、創作小説なんかじゃ病気になったら相手を想って別れるってよくある。

そんな話を見たり読んだりして感動もするけど、結局戻るならどうしてずっと一緒にいないの?
って思っていた。


離れた間だってその人は苦しんでるわけだし、都合よく別れて、都合よく戻る。それがベターなのかもだけど…私も涼太と同じでそれだけは納得しない。



「やっぱさ…嫌になんのか?抗がん剤ってハゲになんだろ?」


そんな小さな事で真剣に悩む涼太がおかしかった。
だからいつの間にか声を出して笑ってしまっていた。



「お前なー…俺が真剣に悩んでんのに…」

「あははっ…ごめ……っ、はぁ……心配しなくても大丈夫!
もし涼太がハゲてもたぶん私は好きだから。」

「たぶん?たぶんって…」


私の一問一句に悩んだり、落ち込んだり、怒ったり。
こんなに楽しい時間は他にはきっとないね。
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